キャリアアンカーで職業分析!診断作りのポイントを解説
2023年9月16日キャリアアンカーとは?
あなたも「キャリアアンカー」を活用して、職業診断をつくってみませんか?
キャリアアンカー(Career Anchors)とは、自分がキャリアを選択する際に、どうしても譲れない価値観や欲求、能力のことです。
このキャリアアンカーは、船の錨(アンカー)のように、自分の働き方の軸となります。
さらに周囲の変化に影響されず、職業への強い動機となります。
キャリアアンカーの概念は、米国の組織心理学者エドガー・シャイン博士によって提唱されました。
彼は、MITスローン経営大学院の同窓生を対象にキャリアの追跡調査を行いました。
その結果、仕事選びの要素が、8つのタイプに分類できることを発見しました。
キャリアアンカーは、職業選択やキャリアの変化、自己成長の方向性の把握といった様々な目的に利用できます。
また、この考え方をベースとして、適職選択やキャリア設計の支援も可能です。
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キャリアアンカーの考え方
キャリアアンカー理論では、以下の3要素から構成されます。
- 個人の能力(得意とすることややりがいを感じること)
- 個人の欲求(求める仕事の条件や環境)
- 個人の価値観(仕事において大切にすることや目指すこと)
これら3つの要素によって、働き方を8タイプに分類します。
キャリアアンカー診断の回答は、自分自身の考え方によるものです。
そのため、経験した仕事によって考え方や該当するタイプが変化することもあります。
キャリアアンカーの目的は、自分自身を知り、職業選択やキャリアに活かすことです。
また、従業員のタイプを特定すれば、職場の満足度向上などにも利用できます。
さらに、キャリアアンカーを上手に活用すれば、個人がより働きがいを感じられる環境をつくれるようになるでしょう。
キャリアアンカーの8タイプ
キャリアアンカー理論では、個人を8つのタイプに分類します。
これらは個人のキャリアや職業適性を知ることができるタイプ分類です。
ここでは、それら8つのタイプについて解説します。
①専門・職能別能力タイプ
専門・職能別能力タイプは特定の分野で能力を発揮し、専門性や技術を高めることで意欲や満足感を得るタイプです。
また、自分の才能を発揮して、専門家としての地位や評価を得たいと考えます。
特に技術職や研究職といった職業に向いていて、特定の課題を追求するのが得意です。
しかし、専門スキルや知識を発揮できない仕事には、関心が低くなる傾向があります。
仮に自分の専門能力を発揮できない部署などに異動すると、やりがいを見失ってしまい、仕事に対する満足度が大きく低下してしまいます。
②経営管理コアコンピタンスタイプ
経営管理コアコンピタンスタイプは、自分自身が管理者として経営に携わりたいという気持ちが強いタイプです。
また、リーダーとしてチームをまとめたり、組織内で出世することに充足感を覚えます。
さらに、責任のある仕事をしたい、組織を動かしたいといった気持ちが強く、経営全般に関する能力を獲得するため、様々な仕事を積極的に経験しようとする傾向があります。
その一方で、専門性や技術力を高めることにはあまり関心がなく、自分の業績や評価につながらない仕事には不満やストレスを強く感じる可能性があります。
③自立・独立タイプ
自立・独立タイプは組織のルールや規則に縛られず、自分のやり方で仕事を進めていくことを望むタイプです。
自主性や自己裁量を求められる仕事に意欲的で、上司に提案や相談ができるような環境で力を発揮できるでしょう。
また、自立心が高く、自分の意見や考えをはっきりと主張するのが得意です。
その一方で、自分のやり方にこだわり、周囲との連携が得意ではありません。
また、合理的でない方針や決定に従う柔軟性や忍耐力が欠ける面もあります。
このタイプが力を発揮するには、自分の能力や価値観を受け入れられる環境が重要です。
④保障・安定タイプ
保障・安定タイプは組織に忠誠を尽くし、社会的・経済的な安定を望むタイプです。
また、ローリスクローリターンな仕事を好み、自分や周囲の安定を重視します。
さらに、人生において重要なことは「継続性」と「安全性」だと考え、仕事においてもできるだけリスクを回避しようする傾向があります。
このタイプは、安定して長期間働ける大企業や公務員を目指す傾向があります。
また、変化を嫌い、転職やキャリアチェンジには保守的で、働き方が変わることや他部署への異動に抵抗を感じるタイプです。
⑤奉仕・社会貢献タイプ
奉仕・社会貢献タイプは、世の中を良くすることに価値を見いだすタイプです。
また、自分の能力や給与よりも、人の役に立つことや社会的な意義を重視します。
特に医療や教育、福祉など、人や社会のためになる職業に向いており、ボランティアやNPOなどへの関心が高いタイプです。
このタイプは仕事への情熱や使命感が強く、誠実で思いやりを持っています。
また、実績や報酬よりも、他人からの感謝や評価にやりがいや満足感を感じます。
その一方で、自分のことを後回しにして、疲労やストレスを抱え込む傾向があります。
また、社会的意義が感じられない仕事には、強い不満や反発を抱くこともあります。
⑥起業家的創造性タイプ
起業家的創造性タイプは、新しいものを生み出すことに情熱を持つタイプです。
また、発明家や芸術家、起業家などクリエイティブな仕事に向いており、新製品や新サービスの開発、新規事業の立ち上げ、既存事業の再建などに強い関心があります。
さらに、困難な課題や変化の激しい状況に立ち向かうことで刺激を感じるのも特徴です。
このタイプは、自分のアイデアやビジョンの実現にやりがいや満足感を感じます。
そのため、自分の能力や価値観を発揮できる仕事や環境をとても重視します。
その一方で、自分の考えにこだわりすぎ、協調性や柔軟性が欠ける面があります。
また、自分の能力や経験を過信しすぎてしまうと、失敗や挫折に直面した際、なかなか再起できなくなるのも特徴です。
⑦純粋な挑戦タイプ
純粋な挑戦タイプは、あえて「解決困難に見える問題の解決」や「手強いライバルとの競争」に挑戦することで、やりがいを感じるタイプです。
また、困難な課題そのものを求めているため、仕事内容や専門性にはこだわりません。
さらに、昇進や昇給、スキルアップなどへの関心も低い傾向にあります。
それよりも、困難に打ち勝つ知力や人との競争にやりがいを感じ、自分を試し続ける「挑戦」が人生の主たるテーマとなっています。
このタイプには、多くのビジネスを展開している企業が向いています。
全く違う部署への異動や転勤などにも、前向きに取り組むことができるでしょう。
また、新規事業や赤字事業の立て直しなど、困難な状況のビジネスほど高いパフォーマンスを発揮する傾向にあります。
⑧ワークライフバランスタイプ
ワークライフバランスタイプは、自分の人生観や価値観に基づいて、仕事とプライベートのバランスを重視するタイプです。
このタイプは自分の働き方を選ぶ際に、家族や友人、趣味などの生活全体を考慮します。
仕事とともに自分の時間や空間を大切にし、自分らしい生き方を実現したいと考えます。
ワークライフバランスタイプは、柔軟な働き方ができる職種や組織に惹かれます。
例えば、在宅勤務やフレックスタイム制度、育児休暇制度などの制度です。
このように、仕事内容だけでなく、ライフスタイルに合わせた働ける環境を求めます。
また、福利厚生や社会貢献性など、仕事以外の要素も重視します。
キャリアアンカーに適した診断
キャリアアンカーには、8つの異なるタイプがあります。
これらのタイプを活用することで、様々な仕事や働き方に関する診断を作成できます。
ここでは、キャリアアンカーに適した診断について紹介します。
①適職診断
キャリアアンカーは、適職を診断するのに適した概念です。
適職診断とは自己の関心や能力、価値観などをもとに、最適な職業を分析する診断です。
キャリアアンカーを用いると、個人の適職を判定することができます。
例えば、個人の仕事に対して求める能力、欲求、価値観が分かれば、やりがいを感じて成果を出しやすい職業や仕事の判定が可能です。
また、自己分析などのツールとして、自分が仕事にどのようなやりがいを求めているかを判定する診断にも活用できるでしょう。
②キャリアアップ診断
キャリアアンカーは、キャリアアップの診断にも適しています。
ここで言うキャリアアップ診断とは、将来のキャリアや成長のプランを立てる診断です。
キャリアアンカーの考え方は、個人の能力、欲求、価値観に基づいています。
そのため、仕事やキャリアの目標を明確にするための重要な指標として活用できます。
キャリアアップ診断では、企業内での働き方についての診断が可能です。
どのような仕事内容や労働環境であれば、本人の意欲が高まり、高いパフォーマンスを発揮できるかを判定できます。
例えば、「経営管理コアコンピタンスタイプ」であれば、チームプレイを統括するポジションに配属されることで、働く意欲が高まり、成果を上げやすくなるでしょう。
また、キャリアアップ診断は、転職サイトなどでも活用できます。
個人のキャリアアンカーを明確にすることで、どのようなキャリアアップの機会を見つけることが適切かを提案できるようになるでしょう。
キャリアアンカーで診断をつくる際のポイント
キャリアアンカーは仕事に求める能力、欲求、価値観をベースに診断を行います。
その理由は、仕事で何を重視し、どのような成果を出したいのかを明確にするためです。
しかし、これらの要素は、仕事との接し方や状況によって変化する場合があります。
特に、能力や価値観は、仕事経験や成長によって大きく変化する可能性が高い要素です。
そのため、キャリアアンカーは固定的なものではなく、現在の個人の状況を表す指標として認識することが重要です。
例えば、職種や役職の変化、新たな能力の習得で、価値観が変化することがあります。
そのため、キャリアアンカーで診断をつくる際は、柔軟性があり、個人の成長や状況に合わせて変化するものとして捉えることが重要です。
キャリアアンカーで診断をつくろう
ここまでキャリアアンカーという概念と、それを用いた診断について解説しました。
キャリアアンカーは個人の職業適性を判定するのにとても適した概念です。
キャリアアンカーを通して自分のキャリアの軸を理解できれば、自分に合った仕事や働き方を見つけることができます。
ぜひ、キャリアアンカーを活用して、職業に関する診断をつくってみましょう。
きっと、自己理解やキャリアプラン立案のツールとして、役立ちますよ。
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